Emacs-20 古典ギリシア語パッケージ
インストール & オペレーション
マニュアル

水落健治@明治学院大学
Kenji Mizuochi

編集・改訂 高橋直人@電子技術総合研究所
TAKAHASHI Naoto


ver.0.1 22.05.1997 Original Version
0.2 28.06.1998 TeX Install について書き直し
0.3 31.09.1998 Ibycus Greek Macro, TLG-CD-ROM Converter
についての記述を追加
0.4 16.02.1999 日本語コードに関する記述を追加
0.5 18.03.1999 ibygrk metafont に関する記述、faq を追加
  18.06.1999 Emacs-20用に書き直し、HTML化
  14.10.1999 TeX パッケージの記述を Ibycus4 用に変更
  22.02.2000 最新版

目次

  1. Emacs-20 古典ギリシア語パッケージの概要
    1. はじめに
    2. 本パッケージが提供する環境
    3. 本マニュアルの概要

  2. 必要なファイル
    1. パッケージに同梱されているファイル
    2. パッケージに同梱されていないファイル

  3. Emacs-20 古典ギリシア語パッケージのインストール
    1. パッケージの展開
    2. フォントの設定
    3. ~/.emacs の書き換え
    4. プリンタの設定

  4. Emacs でのオペレーション
    1. 起動時の画面
    2. CGreek メニューの構成と働き
    3. 入力モードの切替え
    4. キーボードからのギリシア語の入力
    5. ファイル入出力
    6. ギリシア文字のハイライト表示
    7. バッファの印刷

  5. Ibycus4 ギリシア語TeXパッケージのインストール
    1. TeX フォントのインストール
    2. マクロファイルのコピー
    3. TeX 用の環境を設定する
    4. 動作確認
    5. Ibycus4 TeX メタフォント環境の設定

  6. Ibycus4 TeX 文書の作成について
    1. TeX ソース (*.tex) の書式
    2. Emacs 作成文書の TeX 形式への変換
    3. TeX 文書の手直し
    4. TeX 文書のコンパイル・印刷

  7. 付録
    1. カスタマイズ
    2. マルチリンガル環境における日本語文字コードについて
    3. 古典ギリシア語キーボート配列について
    4. Glossary & Commands
    5. FAQ (Frequent Asked Questions)

A. Emacs-20 古典ギリシア語パッケージの概要

1. はじめに

西欧の文学・哲学・歴史等の研究に携わる研究者にとって、コンピュータ上で、 英・独・仏・西・伊などのヨーロッパ諸言語に加えて、ギリシア語、 特に古典ギリシア語を使いたい、という願望は、 「悲願」ともいうべきものではないでしょうか。
かく言う私(水落)もそのひとりで、コンピュータを使いはじめて15年余り、 様々な試行錯誤を続けてきました。

ここに皆様に提供するのは、マルチリンガルエディタ Emacs-20 上で、 ヨーロッパ諸言語、日本語、古典ギリシア語を《混在して》 使用可能にする環境を構築するパッケージです。 この環境においては、 ギリシア語を含む様々な言語の混在テキストの入出力はもちろん、 TeX での印刷、TLG (Thesaurus Linguae Graecae) 形式のテキストの活用なども容易に可能となるので、 ギリシア語で苦労してこられた研究者諸氏の役に立つものと確信しております。

このパッケージを作るきっかけとなったのは、 京都大学に関わる古代・中世哲学の研究者が参加していた Nifty-Serve の Home Party でした。 そこでは、ギリシア語やラテン語の電子テキストのことなど、 コンピュータによる古典語処理の問題があれこれ議論されていたのですが、 ふとしたきっかけで、Mule (Emacs-20 の前身) の存在を知った水落が、 その開発者のひとりである高橋直人氏 (通産省工業技術院、 電子技術総合研究所) とメールのやりとりをするようになり、 電総研に「Mule古典ギリシア語環境構築のためのメーリングリスト」 が開設されました。1996年6月のことです。

このメーリングリストで、Home Party に参加していた幾人かのメンバーと高橋氏との間で様々なやりとりがなされ、 高橋氏が、私たち研究者の要求に応ずる形で 「古典ギリシア語環境」の基礎部分を作ってくださいました。 これが本環境のプロトバージョンとなりました。

その後、鎌田雅年氏 (京都大学) が、Yannis ギリシア語 TeX パッケージ (Emacs-20 では残念ながら現在未対応) のバグフィックスをしてくださったり、 水落が、IbyGreek ギリシア語 TeX パッケージのサポートルーティンや、TLG (Thesaurus Linguae Graecae) 形式データのコンバートプログラムを書いたり して、ほぼ現在の環境ができたわけです。

現在、このプロジェクトでは、 将来に向けて二つの課題を実現して行こうとしています。

  1. 本環境をさらに充実させる。

  2. 外国の研究者たちとの交流の中で、本環境を国際標準のものにしてゆく。 (1999年2月には、TeX Users 協会会長であり、 TeX ギリシア語パッケージの作者でもある Yannis Haralambous 氏との Workshop を持ち、特に古字の問題について議論しました。)
というわけで、この「古典ギリシア語環境」は、現在もなお発展中です。 このパッケージをお使いになって、 「ここをこうした方が良い」という要望などありましたら 是非お寄せください 。 また、メーリングリストに加わって下さる方も大歓迎です。 (プログラムが書けなくても全く構いません。)

いずれにせよ、本パッケージが、古典語に関わる方々に何らかの形でお役に立ち、 コンピュータでギリシア語を扱うための環境が整えられて行くことを願っています。

2. 本パッケージが提供する環境

  1. 本パッケージは、研究等のために、ヨーロッパ諸言語 (英・独・仏・伊・西) 、 古典ギリシア語、日本語を混在して使用することが必要な人のために、エディタ Emacs 上でこれらの諸言語のマルチリンガル環境を提供するものです。

  2. 本環境では、 使用者ができる限り少ないストレスで様々な言語を切り替えて使用でき、 また、多様な需要に応えるために、次の環境を目指しました。

    1. キーボードからの入力時の、瞬時的な各種言語への切り替え
    2. 多様な仕方での入出力と印刷

  3. 本環境で提供される環境は次の通りです。 (下図参照)

    1. キーボード・オペレーション
      メニューあるいはファンクション・キーによる、 各種言語モードへの瞬時の切り替え
      1. Greek Mode : 古典ギリシア語を入力
      2. Latin Mode : 英・独・仏・伊・西などを入力
      3. Japanese Mode : 日本語を入力

    2. 印刷
      1. ps-print による簡易印刷 : 編集中のテキストの全体・一部をその場で瞬時に印刷する
      2. TeX による印刷 : 欧文(英・独・仏・伊・西 etc.)、ギリシア語、 日本語の混在テキストを TeX で印刷する。 (Ibycus4 ギリシア語パッケージに対応)

    3. 入出力
      1. ISO-2022-7bit 形式
        通常の入出力形式
      2. TeX ソースファイル形式
        Ibycus4 ギリシア語パッケージ形式の TeX ソースの入出力
      3. TLG 形式
        TLG の CD-ROM に収録されているファイルを直接読む (入力のみ)
      4. 8bit 形式
        MS-Windows, sgreek.ttf を使った MS-Word 等のギリシア語テキストの入出力

3. 本マニュアルの概要

以下、本マニュアルの構成と概要について述べます。

  1. 必要なファイル

    本パッケージに同梱されている各種ファイル、 必要なファイルの内容と役割について述べます。 まずここを読んで、どのファイルが何をするのかを確認してください。

  2. Emacs-20 古典ギリシア語パッケージのインストール

    本パッケージの中心となる部分のインストールについて述べます。 インストールは4つの部分に分かれます。

    1. 各自のホームディレクトリで tar されたパッケージを展開する
    2. X Window 用古典ギリシア語フォントのパスを追加する
    3. ~/.emacsファイルを書き換える
    4. プリンタの設定を行う

    このインストールが済めば、キーボードからのギリシア語の基本的入力、 ps-print を使っての簡易印刷などができるようになります。 とりあえず、このインストールだけを済ませて、使い始めてみる、 というのもよいでしょう。

  3. Emacs でのオペレーション

    古典ギリシア語パッケージをインストールした環境での基本的操作について述べます。 表示されるメニューバーの各項目の意味、 各言語モードへの切り替え、ギリシア語キーボード配列、 各種モードでの入出力、印刷などについて説明しています。 インストール後、まずこの章を読めば、大体の基本的操作が習得できます。

  4. Ibycus4 ギリシア語 TeX パッケージのインストール

    新版 LaTeX2e で使える Ibycus4 ギリシア語パッケージのインストールについての説明です。 Ibycus4 は、使い方が楽で、日本語との相性もよいです。

    TeX 関係のファイルはなくても、とりあえず Emacs-20 古典ギリシア語環境は作動しますので、 Emacs-20 古典ギリシア語環境にある程度慣れてから、 別途インストールしてもよいでしょう。

  5. Ibycus4 TeX 文書の作成について

    Emacs で作成したギリシア語混じりのマルチリンガル文書を TeX 経由で印刷する手順について述べます。 TeX で作成した文書は、Laser Printer などで打ち出せば、 そのまま書籍の版下にできるほど美しいものです。是非お試しください。

  6. 付録

    1. カスタマイズ
      フォント、キーバインディング、 ハイライト表示などの変更方法について書いてあります。

    2. マルチリンガル環境における日本語文字コードについて
      日本語文字コードには 7 bit JIS, Shift JIS, EUC などがありますが、 マルチリンガル環境とこれらの文字コードとの関連について述べています。

    3. 古典ギリシア語キーボート配列について
      ギリシア語キーボード配列を決めるに際して、 Cgreek Mailing List に流したドキュメントです。 キーボード配列の詳細、 配列決定に際しての考え方などについて述べています。

    4. Glossary & Commands
      本マニュアルで使用する用語・コマンド等についてまとめました。 特に、UNIX, Emacs の環境にまだ慣れていないユーザーのために書いてあります。

    5. FAQ (Frequent Asked Questions)
      本環境についての FAQ です。

B. 必要なファイル

古典ギリシア語環境を構築するために必要なファイルは次のものです。 パッケージには、 TeX 関係のものを除いてすべての必要なファイルを収録してあるので、 とりあえず、パッケージに同梱されているファイルをインストールして、 古典ギリシア語環境に慣れ、それから TeX 関係のインストールを行う、 というのもよいでしょう。

1.パッケージに同梱されているファイル

以下のファイルは、本パッケージに同梱されているものです。

  1. README ファイル
    README, README-j :
    最小限のインストール方法その他について書いてあります。

  2. ドキュメント
    doc/manual-j.html, doc/io.gif, doc/menu.gif :
    このファイル。Emacs-20 古典ギリシア語パッケージのインストールと オペレーションについて記述してあります。

  3. Emacs-20 用 Emacs Lisp プログラム
    cgreek-conf.el : 古典ギリシア語環境の基本設定を行ないます
    cgreek.el : 古典ギリシア語環境の設定を行ないます
    cgreek-util.el : 主に TeX 関係の設定とコンバートを行ないます
    cgreek-quail.el : ギリシア語入力関係の設定を行ないます
    dotemacs.el : Emacs 起動時に ~/.emacs から呼ばれます

  4. TLG ファイル変換プログラム
    tlg/Makefile, tlg/tlg.lex, tlg/tlg.h :
    TLG 形式のファイルを Emacs の内部形式へと変換するプログラムです。

  5. X Window 用フォント
    bdf/cgreek14.bdf, bdf/cgreek16.bdf, bdf/cgreek24.bdf, bdf/fonts.dir :
    ギリシア語 bdf フォント (7x14, 8x16, 12x24 pixels)

  6. Meadow 用ファイルセットには、上記以外に bdf/8x16.bdf, bdf/8x16rk.bdf, bdf/jiskan16.bdf (和文・欧文フォント) が含まれます。 また bdf/fonts.dir は含まれません。

2. パッケージに同梱されていないファイル

本環境では、古典ギリシア語が出力できる TeX パッケージとして、 Ibycus4 が使用できます。 Ibycus4 は、アメリカ Washington 大学古典文献学科の Pierre A. MacKay 氏が開発された TeX ギリシア語パッケージです。 ギリシア文字を数式モードで使う、という中途半端なものではなく、 古典ギリシア語から現代ギリシア語に至るまでの様々なギリシア語を TeX で扱うことを可能にします。

Ibycus4 パッケージのマクロやフォントは、 本パッケージに同梱してはありません。 ftp://orhan.classics.washington.edu/pub/tex/ibycus4.tar.gz からダウンロードしてください。

なお、Ibycus4 パッケージは、Levy のパッケージを前提しているので、 このパッケージを使用する場合は、Levy のパッケージも用意してください。 TeX CTAN サイトの language/greek/levy などからダウンロードできます。

e.g.

    ftp://ftp.center.osaka-u.ac.jp/CTAN/language/greek/levy ftp://ftp.riken.go.jp/pub/CTAN/language/greek/levy
cf. ncftp を使うと、コマンド一発で、 ディレクトリ構造をそのままダウンロードできるので大変便利です。

C. Emacs-20 古典ギリシア語パッケージのインストール

Emacs-20 古典ギリシア語パッケージのインストールは、次の手順で行われます。

  1. パッケージを展開する
    本パッケージ cgreek-emacs20.tar.gz を取ってきて、 各自のホームディレクトリで展開します。
    % cd
    % tar xfvz cgreek-emacs20.tar.gz
    これによって ~/cgreek-emacs20 というディレクトリが作られ、 本パッケージ関係のすべてのファイルが格納されます。

    もし Meadow を使っている場合は、上記の cgreek-emacs20.tar.gz ではなく、代わりに cgreek-meadow.tar.gz を取ってきて Meadow のホームディレクトリで展開して下さい。この場合は ~/cgreek-meadow というディレクトリが作られます。

  2. X Window 用古典ギリシア語フォントのパスを追加する
    (Meadow を使っている場合、ここはスキップします。)
    まず自分の ~/.xinitrc あるいは ~/.xsession
    xset +fp ~/cgreek-emacs20/bdf
    という一行を追加します。

    この後、X Window を再起動するか、 上のxset ...というコマンドを手で打ち込みます。

    最後に以下のコマンドを順に試し、 フォントが正しくインストールされたかどうか確認します。

    % xfd -fn '*--24-*-MuleCGreek-1'
    % xfd -fn '*--16-*-MuleCGreek-1'
    % xfd -fn '*--14-*-MuleCGreek-1'
    本パッケージでは bdf フォントを画面表示と印刷の両方に用いています。 通常ですと画面表示には bdf でなく pcf フォントを用いるのですが、 最近の計算機は速いしメモリもたくさんあるので bdf フォントのままで使ってもほとんど問題ないでしょう。
    もちろんやり方がわかっている人は pcf フォントに変換して使っていただいて結構です。

  3. ~/.emacs ファイルを書き換える
    ~/.emacs の最後に次の1行を追加します。
    (load "~/cgreek-emacs20/dotemacs")

    Meadow の場合は

    (load "~/cgreek-meadow/dotemacs")
    となります。

  4. tlg2emacs のコンパイル
    ~/cgreek-emacs20/tlg ディレクトリに移動して、 make を実行します。
    % cd ~/cgreek-emacs20/tlg
    % make
    これで、TLG 形式のファイルを Emacs の内部形式へと変換するプログラム tlg2emacs~/cgreek-emacs20/tlg の下に作成されます。 Emacs は TLG 形式のファイルを読み込む際、 このプログラムを自動的に呼び出して利用します。

  5. プリンタの設定
    ギリシア文字を含むマルチリンガル文書は、 PostScript に変換されてプリンタに送られます。 したがって印刷には日本語 GhostScript か、 本物の日本語 PS プリンタのどちらかが必要となります。
    いずれにせよ、~/.emacsの中で
    (setq ps-printer-name "ps")
    (ただし "ps" の部分は使用可能な PS プリンタ名) のようにやって PS プリンタ名を指定して下さい。

  6. 最後に Emacs を立ち上げ、 メニューバーの右の方に CGreek の文字が出ればインストールは成功です。 ギリシア文字が使えるのは、 14ドット、16ドット、 24ドットのそれぞれにおいて最初に見つかったフォントセットです。 別のフォントセットでギリシア語を使いたい方は、 付録-1. カスタマイズ -- 画面文字サイズの変更 を参照して下さい。

D. Emacs でのオペレーション

1. 起動時の画面

~/.emacs

(load "~/cgreek-emacs20/dotemacs")
という1行を追加して Emacs を起動すると、ウィンドウ上部のメニューバーの右の方に、 "CGreek" のメニューが新たに追加されます。 このメニューが表示されていれば、 古典ギリシア語パッケージが正しくインストールされたことになります。

2. CGreek メニューの構成と働き

画面左上に表示される CGreek メニューの構成と働きは次の通りです。

以下、各メニューの働きの概要を示します。

3. 入力モードの切替え

Greek Mode, Latin Mode, Japanese Mode間相互の切替えは、 CGreek メニュー内の該当サブメニューをクリックすることによって、 行なわれますが、 これをファンクション・キーで行うようにすることも可能です。くわしくは 「付録-1. カスタマイズ」の中の 4. ファンクション・キーによる言語環境切替え を見て下さい。

英語はもちろん Latin Mode で入力できますが、 アクセントを付ける機能がわずらわしく感じるときは C-\と打つことで通常の ASCII 入力に戻ることができます。

4. キーボードからのギリシア語の入力

古典ギリシア語のキーボード配列は、ギリシア語モードで、 M-x quail-help と入力すると表示されます。

キーボードの配列は、次の原則によっています。

  1. 各ギリシア文字アルファベットのキーボード上の配置は、 同等の音価をもつラテンアルファベットに対応させる。
    alpha ==> A/a
    beta ==> B/b
    gamma ==> G/g
    zeta ==> Z/z
    phi ==> F/f
    xi ==> X/x
    chi ==> C/c
    etc.

  2. ラテンアルファベットにないギリシア文字は、 文字形態の似たラテンアルファベットのキーに対応させる。
    theta ==> Q/q
    omega ==> W/w
    etc.

  3. smooth breathing - rough breathing / grave accent - acute accent のそれぞれの対は、 それぞれ同一キーの non shift key と shift key に定義する。
      breathing accent
    non shift smooth acute
    shift rough grave

  4. アクセント記号・気息記号の入力は、まず、アルファベットを入力し、 その後気息記号・アクセント記号を入力する。

  5. 同一のアルファベットに複数の気息記号・ アクセント記号が付加される場合には、 アルファベットを入力したのち入力される複数の気息記号・ アクセント記号の順序は自由とする。

  6. トレマ記号の入力は気息記号に準ずる。

  7. alpha, eta, omega に付加される下書きイオタの入力は、 alpha, eta, omega の直後とする。

  8. アクセント記号付きの大文字は、活版印刷本の場合と同様に、 まずアクセント記号・気息記号を打ち、 ついでアルファベットを入力する。
以上細かく書きましたが、ファンクションキーでギリシア語モードに移行し、 キーボードからあれこれ打ち込んでみれば、すぐに感覚はつかめると思います。

キーボード配列についての詳細は、 付録-3. 古典ギリシア語キーボート配列について を参照してください。

5. ファイル入出力

Emacs で作成された古典ギリシア語を含んだマルチリンガル・ テキストは、通常の仕方で保存・読み込みができますが (メニューバーの File メニュー以下のサブメニューを使用)、 本パッケージでは、これ以外の「特殊フォーマット」 のファイルの入出力をもサポートしています。

これら「特殊フォーマット」のファイルの入出力は、 メニューバー CGreek 中のサブメニュー Open File および Save Buffer にまとめられています。

以下、これらの各入出力について、サブメニューの順序に従い述べます。

  1. Open File --> ISO-2022-7bit Format
    通常の多言語テキスト・ファイルを読み込みます。

  2. Open File --> TeX Format
    英・独・仏・伊・西・希・羅・日 などが混在したIbycus4 TeX フォーマットのテキストを Emacsの内部形式に変換して読み込みます。

  3. Open File --> TLG Format
    TLG CD-ROM 形式のギリシア語テキストを読み込みます。 フォントの大きさ等、いくつかの細かい情報は失われます。

  4. Open File --> 8bit Format
    入力データを cgreek??.bdf 文字コードに即したデータとして読み込みます。 cgreek??.bdf の文字コードは、 MS-Windows 版の古典ギリシア語フォント sgreek.ttf (Share Ware "Win Greek" などに添付されているもの) と同一なので、このフォント環境で作成された MS-Word のギリシア語テキストなどをも取り込むことができます。

  5. Save Buffer --> ISO-2022-7bit Format
    編集中のテキストを通常形式で保存します。

  6. Save Buffer --> TeX Format
    編集中の多言語テキストを Ibycus4 TeX 形式のファイルに変換して保存します。

  7. Save Buffer --> 8bit Format
    編集中の古典ギリシア語テキストを cgreek??.bdf フォント形式のファイルに変換して保存します。

6. ギリシア文字のハイライト表示

編集中のテキストのギリシア語部分をハイライト表示したり、 ハイライト表示を解除したりします。

ギリシア語文字セットとラテン文字セットで同じ形のものが多いので (e.g. ラテン文字の 'A' とギリシア大文字の ALPHA, ラテン文字のセミコロンとギリシア文字の疑問符 etc.)、 両者を区別するために用います。

ハイライト表示色などはカスタマイズ可能。 付録-1. カスタマイズ -- ハイライト関連 の項を参照してください。

7. バッファの印刷

ps-print を使用し、編集中のマルチリンガル・テキストを Postscript プリンタ経由で印刷します。
  1. Print --> Buffer … 現在のバッファの全体を印刷します
  2. Print --> Region … 指定されている範囲を印刷します (範囲指定が行われていない場合には選択できません)

変数 ps-printer-name が正しく設定されていれば、 このボタンをクリックするだけで、いとも簡単に印刷ができます。 アンダーライン等も再現されます。 カラープリンタを使っている場合は、文字の色も再現されます。

デフォルトの cgreek24.bdf を使った場合、 ギリシア文字だけ印刷が荒くなりますが、 36x72 dots 程度の bdf フォントが用意できれば、 極めて良質の印刷も可能です。

設定については、 付録-1.カスタマイズ -- ps-print時のギリシア語フォントの変更 を参照してください。


E. Ibycus4 ギリシア語 TeX パッケージのインストール

本パッケージでは、ギリシア語 TeX 環境として、 Ibycus ギリシア語 TeX パッケージ ver.4 (以下 Ibycus4 と略記) が使えます。

Ibycus4 パッケージは、LaTeX2e 以降で作動します。 まずは、LaTeX2eがインストールされていることを確認してください。 また、xdvi, dvi2ps 等についても、 これらがインストールされていない場合は、 これらをまずインストールしておいてください。

インストールは root になって行なわないと、"permissin denied" が出て、 ファイルを書き込めないことがあります。

1. Ibycus4 パッケージの展開

適当なディレクトリ (e.g. ~/tmp) で Ibycus4.tar.gzを展開します。
% cp ibycus4.tar.gz ~/tmp
% cd ~/tmp
% tar xzvf ibycus4.tar.gz
新たに Ibycus4 というディレクトリが作られ、 その下にパッケージが展開されます。

2. pk フォント、tfm フォントのコピー

root になり、tex マクロ、tfm、metafont source をコピーします。
% su
Passwd:
# cd ibycus4/reloc
# cp -r tex/generic $TEXMF/tex/generic
# cp -r fonts/tfm/public/ibycus4 $TEXMF/fonts/tfm/public
# cp -r fonts/source/public/ibycus4 $TEXMF/fonts/source/public

3. ibycus4.mapのリンクを張る

# cd $TEXMF/tex/generic/ibycus4
# ln -s $TEXMF/fonts/source/public/ibycus4/ibycus4.map ibycus4.map

4. levy メタフォント・ソースのインストール

levy パッケージに入っている *.mf ファイルを metafont のソース・ディレクトリにコピーします。
% cp -r levy ~/tmp
% cd ~/tmp
% su
Passwd:
# cp -r levy $TEXMF/fonts/source/generic

5. ファイルの確認

以下の各ディレクトリに、次のファイルが存在することを確認します。
[ $TEXMF/tex/generic/ibycus4/ ]
  Uibycus4.fd   iby4text.tex  ibycus4.map@  ibycus4.tex   tlgsqq.tex
  iby4extr.tex  ibycus4.ltx   ibycus4.sty   setiby4.tex   version4.tex
ibycus4.map が、 $TEXMF/fonts/source/public/ibycus4/ibycus4.map のリンクとなっていることを確認してください。
[ $TEXMF/fonts/tfm/public/ibycus4/ ]
  fibb84.tfm   fibb849.tfm  fibo848.tfm  fibr84.tfm   fibr849.tfm
  fibb848.tfm  fibo84.tfm   fibo849.tfm  fibr848.tfm
[ $TEXMF/fonts/source/public/levy/ ]
  00Description    grbase.mf        grtt10.mf        q.mf
  00readme.txt     grbld10.mf       h.mf             r.mf
  a.mf             grbld8.mf        i.mf             s.mf
  b.mf             grbld9.mf        j.mf             slgreek.sty
  d.mf             greek.mf         k.mf             t.mf
  digits.mf        greekhist.tex    l.mf             testfont
  digits.mf-old    greekmacros.tex  lig.mf           todo.txt
  e.mf             greekuse.tex     lower.mf         u.mf
  f.mf             grinstall.tex    m.mf             upper.mf
  g.mf             grpunct.mf       makeall          w.mf
  g.mf-old         grreg10.mf       makefont         x.mf
  gen_acc.mf       grreg8.mf        n.mf             y.mf
  gen_sigma.mf     grreg9.mf        o.mf             z.mf
  graccent.mf      grtestfont.tex   p.mf
[ $TEXMF/fonts/source/public/ibycus4/ ]
  abary4.mf    fibb848.mf   fibr84.mf    ibyacc4.mf   ibypnct4.mf  ubary4.mf
  cigma4.mf    fibb849.mf   fibr848.mf   ibycus4.map  ibyupr4.mf   version4.mf
  digamma4.mf  fibo84.mf    fibr849.mf   ibycus4.mf   koppa4.mf    wbary4.mf
  ebary4.mf    fibo848.mf   hbary4.mf    ibylig4.mf   obary4.mf
  fibb84.mf    fibo849.mf   ibary4.mf    ibylwr4.mf   sampi4.mf

6. パスの再設定

root のまま、TeX のパスの再設定を行います。 (下記のいずれかひとつを実行)
# MakTeXls-R ............... 旧版の場合

# mktexlsr ................. 新版の場合

7. テスト

一般ユーザになり、ibycus4/reloc/tex/generic に移動してサンプルを実行します。
% cd ~/tmp/ibycus4/reloc/tex/generic
% platex ibycus.ltx
dvi2ps などで *.ps にコンバートして、詩が現れれば、 インストールは成功です。


F. Ibycus4 TeX 文書の作成について

日本語 TeX に Ibicus4 マクロを追加すれば、 Emacs 上で作成した古典ギリシア語混じりのテキスト (日本語、独・仏・伊・西語などが混在していてもよい) をレーザープリンタで印刷することが可能です。

1. TeX ソース (*.tex) の書式

次項で説明する仕方で Emacs 文書を自動変換する場合には、 本項での説明を覚える必要はありません。

Ibycus4 マクロを使ってギリシア語文書を作成するためには、TeX ソースに

\usepackage{ibycus4}
の1行を加えます。
* LaTex2e は、書式が変っているので、\input{...} は使いません。

ギリシア語の開始−終了を示すには、

\begin{greek} ....... \end{greek}
をつけます。
* マニュアルには、\greek{ギリシア文字} でよいと書いてありますが、試した所、 うまく行かない場合がありますので、上の書式を使って下さい。

具体的な書式は、たとえば次のようになります。

--[foo.tex]----------------------------------------
\documentclass[12pt]{jarticle}
\usepackage{ibycus4}
\begin{document}

(日本語・欧文など)

\begin{greek}
(ギリシア語)
\end{greek}

(日本語・欧文など)

\end{document}
---------------------------------------------------

各文字の記述法、アクセント・気息記号のつけ方などの詳細については、 Ibycus4 パッケージに同梱されている README を参照してください。

2. Emacs 作成文書の TeX 形式への変換

Emacs 上で作成した日本語・欧文・ギリシア語混じり文を TeX 形式に自動変換する手順は次の通りです。

  1. 作成した文書を Emacs に読み込む

  2. メニューバーの CGreek を選択し、 Save Buffer --> TeX Format を選択する。

  3. ミニ・バッファでファイル名をたずねられるので、 適当なファイル名を入力し保存する。 この際、読み込んだファイル名と同様のファイル名で保存すると、 オリジナルのファイル名に上書きされてしまうので注意すること。

このようにして保存されたファイルは、

  1. 独・仏のウムラウト、アクサンなど

  2. ギリシア語 (\begin{greek} - \end{greek} の付加、 アクセント・気息記号なども含む)

が TeX 形式に変換されている。

3. TeX 文書の手直し

  1. TeX 形式で保存した文書を改めて Emacs に読み込みます。

  2. Ibycus4 マクロが使えるように書式を整える。具体的には、
    ---------------------------------
    \documentclass[12pt]{jarticle}
    \usepackage{ibycus4}
    \begin{document}


    \end{document}
    ----------------------------------
    などを追加します。

  3. TeX の形式に従って、さらに必要な書式指定などを行います。

4. TeX 文書のコンパイル・印刷

通常の TeX 文書の扱いに従って、コンパイル・印刷します。

e.g.

% platex foo.tex
% dvi2ps foo.dvi > foo.ps
% lpr -P ps-printer foo.ps

付録


付録-1. カスタマイズ

1. 画面文字サイズの変更

デフォルトのままですと、ギリシア文字が使えるのは 14ドット、16ドット、 24ドットのそれぞれにおいて最初に見つかったフォントセットとなります。 16ドットの fontset-standard はすべての Emacs で準備されていますから、 どんな人でも16ドットのギリシア語は使えることになります。 が、人によっては14ドットあるいは24 ドットのフォントセットを用意していないこともあるでしょうし、 最初に見つかるフォントセット以外のフォントセットで ギリシア文字を使いたい人もいるでしょう。

そのようなときは、~/cgreek-emacs20/dotemacs.el 内の

;(set-fontset-font "fontset-myfontset" 'cgreek "*MuleCGreek-1")
という行の myfontset という部分を使用したいフォントセット名で置き換え、 さらに先頭のセミコロンを削除して下さい。
なお、この (set-fontset- ... ) という行は、 使いたいフォントセットの数だけ何行でも書くことができます。

なお、「フォントセットが何を意味するのかはわからないが、 とにかく14ドットや24ドットのギリシア文字が使いたい」という人は、 ~/.Xdefaults に次の3行を入れて X Window を再起動して下さい。

Emacs.Font: fontset-standard
Emacs*Fontset-0: -*-*-medium-r-normal--14-*-*-*-*-*-fontset-small
Emacs*Fontset-1: -*-*-medium-r-normal--24-*-*-*-*-*-fontset-large
その後 Emacs を起動し、 その上でシフトキーとマウスの右ボタンを同時に押して出てくるメニューから small あるいは large を選択して下さい。

また起動時の文字サイズを変更したい場合は、一番上の

Emacs.Font: fontset-standard
という行を
Emacs.Font: fontset-small
あるいは
Emacs.Font: fontset-large
に変更して下さい。

2. ps-print時のギリシア語フォントの変更

本パッケージにおける ps-print の設定では、 ASCII、アクセント付 Latin-1 文字、 日本語、の3種の印刷にはプリンタ内蔵フォントを使い、 ギリシア文字の印刷には ~/cgreek-emacs20/cgreek24.bdf を使うようになっています。 したがってギリシア文字だけが他に比べて汚く感じるかと思います。 これを克服するためには、 よりドット数の多いギリシア文字フォントを作るか、 あるいは TeXを使う かする必要があります。

ドット数の多いフォントを作る方法は、主に2種類に分けられます。

  1. sgreek.ttf を bdf にコンバートする
    前述の TrueType フォント sgreek.ttf を bdf に変換して使います。 コンバータは、 NIFTY-Serve, FUNIX, Linux の ライブラリにあります。 コマンド名は msf2bdf.exe です。

  2. bdfresize を使って tlg24.bdf, 12x24.bdf を2〜3倍に拡大し、 xfed2 などのフォント・エディタで手直しする
    bdfresize, xfed2 は、インターネット ftp で取得可能です。
こうして作った新しい bdf フォントに適当な名前を付け ~/cgreek-emacs20/bdf の下にセーブします。また ~/cgreek-emacs20/dotemacs.el の中で
(cons '(cgreek (normal bdf "cgreek24.bdf" MuleCGreek 1))
という行の cgreek24.bdf という部分を、 新しい bdf フォントファイルの名前で置き替える必要があります。

3. ハイライト関連

  1. デフォルトでギリシア語を色つきにしたい
    ~/cgreek-emacs20/dotemacs.el
    (setq-default cgreek-highlight-switch t)
    という1行を挿入します

  2. ギリシア語に色ではなくアンダーラインをつけたい
    ~/cgreek-emacs20/dotemacs.el
    (setq cgreek-greek-text-property 'underline)
    という1行を挿入します

  3. その他
    次の5行を参考にカスタマイズしたものを ~/cgreek-emacs20/dotemacs.el に挿入
    (make-face 'cgreek-myface)
    (set-face-foreground 'cgreek-myface "magenta")
    (set-face-background 'cgreek-myface "lightgreen")
    (set-face-underline-p 'cgreek-myface t)
    (setq cgreek-greek-text-property 'cgreek-myface)

    1行目と4行目はそのまま ~/cgreek-emacs20/dotemacs.el に入れます。

    2行目と3行目の "magenta""lightgreen" とが、文字の色、 背景色となります。(ダブルクオートを忘れないこと)
    (色の名称は、rgb.txt などを参照のこと)

    4行目で色の有無、アンダーラインの有無を指定します
    最後が t : 色とアンダーラインの双方がつきます
    最後が nil : 色のみがつき、アンダーラインはなし
    (t と nil にはダブルクオートはつきません)

4. ファンクション・キーによる言語環境切替え

~/.emacs の中に、たとえば
(global-set-key [f10] 'cgreek-greek-mode)
(global-set-key [f11] 'cgreek-latin-mode)
(global-set-key [f12] 'cgreek-japanese-mode)
のような記述を追加して下さい。 [f2] [f3] [f4] という部分を変更すれば、 それに応じたキーで切替えが行われるようになります。

5. 日本語入力システムの変更


デフォルトの日本語入力メソッドは、 Emacs-20, Meadow 共に Quail の "japanese" パッケージですが、 これは変更可能です。


付録-2. マルチリンガル環境における日本語文字コードについて

0. 序

よく知られているように、コンピュータでの日本語処理には、 様々な文字コードがあります。

ここでは、英・独・仏・西・伊などのヨーロッパ諸言語、古典ギリシア語、 日本語を同時に混在して使用する環境において、 どの日本語コードを使用すべきかを述べます。

* 各文字コード体系についての詳細は、
錦見美貴子、高橋直人、戸村哲、半田剣一、桑理聖二、向川信一、吉田智子著 『マルチリンガル環境の実現 -- X Window/Wnn/Mule/WWWブラウザでの多国語 環境』1996, プレンティスホール (ISBN 4-88735-020-1)
を参照してください。

1. 日本語文字コードの種類

1.0 JIS コード

日本語には、漢字、ひらがな、カタカナなど多種多彩な文字があります。 文字の総数は数千のオーダーになるので、とても1バイトでは表しきれません。

そこで、8ビット中の下位7ビットを使用し、ASCII 文字の内の Control Code 領域(00h〜1Fh)を除外した 94 個の1バイト文字2個 (ないし3個) で日本語文字を表現する文字コード体系が制定されました。 これが、JIS コードと呼ばれるものです。

JIS コードの規格としては、JIS X0201-1997(ローマ字)、JIS X0201-1997 (片仮名)、JIS X0208-1976,-1983,1997, JIS X0212-1990 が定められています。

けれども、JIS コードを単純に並べただけでは、 ASCII 文字と日本語とが混在したテキストを扱うことはできません。 「どこからどこまでが ASCII文字なのか」、 「どこからどこまでが2バイト全角文字なのか」が分からないからです。

そこで、この問題を解決するために、様々なコード体系が考案されました。

1.1 ISO-2022-7bit

ISO-2022-7bit は、JIS コードそのものには手を加えず、 ASCII 文字と全角文字との境界に「ここからは全角文字の始まり」、 「ここからは ASCII 文字の始まり」を示す特殊文字の並び (ESC Code で始まる) を挿入するものです。

このコード体系は、次のような特徴を持っています。

  1. 長所
    • 下位7ビットで文字を表現するため、 最上位1ビットが落ちてしまうネットワークで使うために都合がよい。
    • 「切り替えコード」の種類を様々に取り決めることによって、 ASCII 文字+日本語以外の様々な文字を混在で扱うことができる。 たとえば 「ASCII文字+日本語+アラビア語」なども可能。

  2. 短所
    • 文字数とバイト数との対応が不規則
    • ネットワークなどで使われたとき「切り替えコード」 が文字化けしたり失われたりしたとき、修復が困難となる。

1.2 EUC Code

正式名称で「日本語 EUC コード」と呼ばれるもので、 別名「拡張 UNIX コード」などとも呼ばれます。

このコード体系は、2バイト全角文字の上位バイト、下位バイトそれぞれの bit 7 を立ててASCII 文字と区別することによって、 ASCII 文字と全角文字との混在を実現しようとするものです。

EUC コードには、日本語 EUC コードの他に、韓国語、 中国語 EUC コードがあります。

このコード体系は、次のような特徴を持っています。

  1. 長所
    • 半角文字が1バイト、全角文字が2バイトで表現されるので、 文字数とバイト数との対応が規則的。

  2. 短所
    • ASCII文字+1つの文字体系 しか同時に表現できない。 たとえば、ASCII文字+日本語の環境では、中国語を扱うことはできない。

1.3 Shift JIS Code

JIS コード(JIS X0208-1990)を特定の変換規則によって変換 (= shift) し、 その第一バイトを80h〜9Fh, E0h〜FFhに納めることによって、 日本語半角カナ文字 (A0h〜DFh)をも同時に使えるようにしたコード体系です。

Microsoft MS-DOS, MS-Windows で採用されています。

このコード体系は、次のような特徴を持っています。

  1. 長所
    • ASCII文字・日本語全角文字・半角カナ、 の三種類の文字を同時に使用できる。
    • 半角文字が1バイト、全角文字が2バイトで表現されるので、 文字数とバイト数との対応が規則的。

  2. 短所
    • 全角文字の第一バイトは80h〜9Fh, E0h〜FFhに納まるが、 第二バイトはASCII文字と同一のコードともなりえるので、 特定の文字を確定するためには、行頭から順次調査しなければならない。
    • ASCII文字・日本語全角文字・半角カナ、 以外の文字を同時に使用することはできない。

2. どのコード体系を使うべきか

2.0 マルチリンガル環境で使える日本語文字コード

以上の説明から明らかなように、EUC Code および Shift JIS Code の環境では、 使用可能な文字は、ASCII文字、日本語全角文字、(半角カナ) のみです。

したがって、これらに加えて、ギリシア文字を使おうとすると、 使用可能な日本語文字コードの体系は、 ISO-2022-7bit のみということになります。

というわけで、本「Emacs-20 古典ギリシア語パッケージ」を使用する場合には、 日本語文字コードを ISO-2022-7bit に設定することをお勧めします。

3. Emacs での設定

3.0 Emacs 内部コードと日本語文字コード

多国語エディタ Emacs は、様々な言語の同時処理を可能にするため、 様々な言語の文字コードを、キーボードからの入力、ファイル読み込みなどの際に、 独自の内部コードに変換して処理します。

この変換は自動的に行われるので、たとえば、Emacs の設定が 日本語 EUC コードに設定されていたとしても、Emacs は、ほとんどの場合、 ISO-2022-7bit や Shift JIS で書かれたファイルを正しく読み取ります。

しかし、ウムラウトやアクサン、ギリシア語などがこれに加わると、 時折文字化けが起こったりします。

* 私 (水落) は、Mule (Emacs) を使い初めの頃、文字化けに悩まされ、 「どうも Emacs はあまり賢くないな」などと思ったものでしたが、 それは、日本語文字コードの設定不良によるものでした。

したがって、文字化けを起こさずに、 マルチリンガルファイルを読み書きするためには、 Emacs の文字コードの設定を ISO-2022-7bit にしておく、 というのが望ましい方法です。

3.1 Emacs での設定

指定通り、 ~/.emacs の最後に

(load "~/cgreek-emacs20/dotemacs")
という1行を追加していれば、 coding-system は自動的に ISO-2022-7bit に設定されます。 何らかの理由でデフォルトの coding-system を ISO-2022-7bit 以外に変更している場合は、 多言語ファイルをセーブする前に C-x RET f ISO-2022-7bit RET と明示的に coding-system を指定して下さい。


付録-3. 古典ギリシア語キーボート配列について

以下に掲載するのは、古典ギリシア語環境作成のための Mailing List で、 ギリシア語キーボード配列を決めるに際して、 水落が、Mailing List に流したドキュメントです。 キーボード配列の詳細、 配列決定に際しての考え方などについて述べています。 キーボード配列に疑問をもったときなどに読んでいただければよいと思います。

現在の Emacs-20 用キーボード配列と異なる部分は 赤字 で示してあります。

0. 序

  < Mule 古典ギリシア語キーボート配列 > を送ります。

  前回の「試案」を書いてから、

      ・NEC PC-9800 シリーズ用 KOA-TechnoMate のギリシア語キー配列
      ・Mule の現代ギリシア語のキー配列
      ・IBM の技術資料に出ているさまざまなキーボードの配列
      ・ドイツで買った技術書 >PC-Intern< に出ているヨーロッパ関係の
        キーボード配列

  などとにらめっこしながら、欧文 101/102 Keyboard と日本語106 Keyboard
  のキー配列を紙に書き、何回となく書いたり消したりの試行錯誤を重ねてよ
  うやくこの試案にたどりつきました。

  この配列を決定するにあたっては、小生の

      ・KOA-TechnoMate の使用経験
           (この配列は Mule の現代ギリシア語の配列とかなり似ています)

      ・MS-Windows上の WinGreek の使用経験

  を踏まえて慎重に考えましたが、結果的に、ブラインド・タッチが可能なユ
  ーザにもそうでないユーザにも、結構使いやすい配列ができたのではないか、
  と自負しています。ご検討ください。

  古典ギリシア語は、気息記号やアクセント記号の付加の度合いが、現代ギリ
  シア語や他の欧文とは比較にならないくらい多いので----これに匹敵するの
  は母音記号つきのヘブライ語位でしょうか----、これらの付加記号が入力し
  にくい位置に配置されていると、入力作業が極めて苦痛になります。

  しかも、欧文 101/102 Keyboard と日本語106 Keyboard とで、記号等の位置
  が全く変わってくるものもある、ということで、作業はかなり困難でした。


1. 全体的な方針

  1.1. 古典ギリシア語のキー配列は、コンピュータ上で古典ギリシア語を扱うため
      の事実上の標準である Thesaurus Linguae Graecae (TLG) を扱えるものとす
      る。

  1.2. キーボードの配列は、特定のキーを打鍵したときに出力される文字(=ASCII
      文字) に対応するものとして定義する。したがって、英語 101 Keyboard と
      日本語 106 Keyboard とでは、記号等の配列が異なってくるが、本案では、
      両者の相違が、実用上最小限になるように考慮した。

  1.3. アクセント記号・気息記号の入力は、dead key 方式ではなく、overstrike
      方式とする。

        i.e. まず、アルファベットを入力し、その後気息記号・アクセント記号
             を入力する方式

  1.4. 同一のアルファベットに複数の気息記号・アクセント記号が付加される場
      合には、アルファベットを入力したのち入力される複数の気息記号・アクセ
      ント記号の順序は自由とする。

        i.e. a.アルファベット+気息記号+アクセント記号、の順序
             b.アルファベット+アクセント記号+気息記号、の順序
                 のいずれをも可能とする。

  1.5. トレマ記号の入力は気息記号に準ずる

  1.6. alpha, eta, omega に付加される下書きイオタの入力は、alpha, eta,
      omega の直後とする。これにさらに気息記号・アクセント記号が付加され
      る場合の入力順序は、前掲 2. および 3. と同様とする。

  1.7. アクセント記号付きの大文字は、活版印刷本の場合と同様に、まずアク
      セント記号・気息記号を打ち、ついでアルファベットを入力するものと
      する。つまり、気息記号・アクセント記号1文字、アルファベット1文
      字の計2文字として表示され、アルファベットの上部に気息記号・アク
      セント記号が付加されることはない。

  1.8. 各ギリシア文字アルファベットのキーボード上の配置は、同等の音価を
      もつラテンアルファベットに対応させる。

            alpha  ==>   A/a
            beta   ==>   B/b
            gamma  ==>   G/g
            zeta   ==>   Z/z
            phi    ==>   F/f
            xi     ==>   X/x
            chi    ==>   C/c     etc.

  1.9. ラテンアルファベットにないギリシア文字は、文字形態の似たラテンア
       ルファベットのキーに対応させる。

            theta  ==>   Q/q
            omega  ==>   W/w     etc.

         * TLG の対応表、WinGreek の配列がこのようになっていて、大変覚え
           やすく、慣れるのが早い。

  1.10. 古字は使用頻度が少ないと思われるので、最上段左側の shift key と
       して定義する。

          sampi, digamma, stigma, koppa,   etc.

  1.11. smooth breathing -- rough breathing / grave accent -- acute
        accent のそれぞれの対は、それぞれ同一キーの non shift key と
        shift key に定義する。

          smooth breathing: non shift      accte accent  : non shift
          rough  breathing: shift          grave accent  : shift

  1.12. その他の付加記号、i.e. 曲アクセント、下書きのイオタは、使用頻度
       が高いので、打ちやすい位置のキーに定義する。

  1.13. ただし、ブラインド・タッチができない使用者のために、気息記号・ア
       クセント記号のキーを可能な限り類似のキーにも定義する。

----------------------------------------------------------------------------

2. キーボード配列

  2.1 アルファベット

     ---------------------------------------------------------------
        ASCII(Key Top)    Greek (Shift)      Greek (Non Shift)
     ---------------------------------------------------------------
         A                 [ALPHA]            [alpha]
         B                 [BETA]             [beta]
         C                 [CHI]              [chi]
         D                 [DELTA]            [delta]
         E                 [EPSILON]          [epsilon]
         F                 [PHI]              [phi]
         G                 [GAMMA]            [gamma]
         H                 [ETA]              [eta]
         I                 [IOTA]             [iota]
         J                 [iota subscriptum] [sigma (word end)]
         K                 [KAPPA]            [kappa]
         L                 [LAMBDA]           [lambda]
         M                 [MU]               [mu]
         N                 [NU]               [nu]
         O                 [OMICRON]          [omicron]
         P                 [PI]               [pi]
         Q                 [THETA]            [theta]
         R                 [RHO]              [rho]
         S                 [SIGMA]            [sigma]
         T                 [TAU]              [tau]
         U                 [YPSILON]          [ypsilon]
         V                 [rough breathing]  [smooth breathing]
         W                 [OMEGA]            [omega]
         X                 [XI]               [xi]
         Y                 [PSI]              [psi]
         Z                 [ZETA]             [zeta]
     ---------------------------------------------------------------
         * [] 内の大文字は Capital

  2.2 数字
現在のバージョンでは、ギリシア語モードで数字キーを打つと ギリシア文字集合の数字ではなく、 ASCII の数字が入るようになっています。 両者は外見上区別がつきにくいのですが、 ギリシア文字をハイライト表示されれば確認することができます。
     ---------------------------------------------------------------
        ASCII(Key Top)   Greek Letter   Code in Greek Font Set
     ---------------------------------------------------------------
           1               1              {31h}
           2               2              {32h}
           3               3              {33h}
           4               4              {34h}
           5               5              {35h}
           6               6              {36h}
           7               7              {37h}
           8               8              {38h}
           9               9              {39h}
           0               0              {30h}
     -------------------------------------------------------------------

  2.3 記号・句読点

        * ほぼ、英語 101 Keyboard の順に配列してあります。

     -------------------------------------------------------------------
        ASCII(=Key Top)   Greek Letter        Code in Greek font Set
     -------------------------------------------------------------------
           [tilda] {7Eh}   [tilda]             {7Eh}
           `       {60h}   [rough breathing]   {60h}
           !               [SAMPI]             {22h}
           @               [question mark]     {3Fh}
           @               [ASCII @]            N/A
           #               [DIGAMMA]           {23h}
           $               [STIGMA]            {24h}
           %               [qoppa]             {25h}
           ^               [circumflex accent] {5Eh}
           &               [QOPPA]             {26h}
           *               *                   {2Ah}
           *               [ASCII *]            N/A
           (               (                   {28h}
           )               )                   {29h}
           _ [under bar]   _ [under bar]       {5Fh}
           _ [under bar]   _ [ASCII _]          N/A
           - [dash]        - [dash]            {2Dh}
           +               [KOME-JIRUSHI]      {2Bh}
           =               =                   {3Dh}
           =               [ASCII =]            N/A

           {               {                   {7Bh}
           {               [ASCII {]            N/A
           }               }                   {7Dh}
           }               [ASCII }]            N/A
           [               [                   {5Bh}
           ]               ]                   {5Dh}

           :               [upper dot]         {3Ah}
           ;               ; [Gr.question mark]{3Bh}
           "               [trema]             {40h}
           '               [smooth breathing]  {27h}
           |               |                   {7Ch}
           |               [ASCII |]            N/A
           \               [circumflex accent] {5Eh}

           <               <                   {3Ch}
           ,               ,                   {2Ch}
           >               >                   {3Eh}
           .               .                   {2Eh}
           ?               [grave accent]      {5Ch}
           /               [acute accent]      {2Fh}
  -------------------------------------------------------------

3. 付 記

  3.1. ギリシア語のアルファベットはラテン文字のそれよりも少ないので、
      'j','J', 'v', 'V' の部分が余ります。そこで、これらに、語末シグマ、
      下書きイオタ、気息記号を定義しました。

             j  ==> [sigma (word end)]
             J  ==> [iota subscriptum]
             v  ==> [smooth breathing]
             V  ==> [rough breathing]

      V/v に気息記号を定義することについては、大分迷いましたが、現在 MS-
      Windows で使っている Win Greek では、キーボードに慣れて来るにつれて
      ここに定義されている下書きイオタ付きの文字をこのキーで入力すること
      はなくなってきたので、こう決断しました。
      これら2つの気息記号は、極めて使用頻度が高いので、左人差し指に割り
      振ってもよいと思います。

  3.2. アクセント記号については、

             /  ==> [acute accent]
             ?  ==> [grave accent]
             \  ==> [circumflex accent]

      と定義してあります。'/' と '?' は、英語 101 Keyboard と日本語
      106 Keyboard で配列が同じですし、'\'[yen / back slash] は、いずれ
      のキーボードでも右小指で打つことができるので、打ちにくくなること
      はないだろうとの判断です。

  3.3. 上記2項で定義された気息記号とアクセント記号の2対、すなわち、

          [smooth breathing] - [rough breathing]
          [acute accent]     - [grave accent]

      は、それぞれ同一キーの non shift と shift に定義されているので、ブ
      ラインド・タッチでの打鍵が容易です。

  3.4. しかし、ブラインド・タッチができない使用者のために、次の3つの文字
      については、Key Top に書かれている文字と類似のキーにも定義しました。

            ' ==> [smooth breathing]
            ` ==> [routh breathing]
            ^ ==> [circumflex accent]

      したがって、上記3つの記号については、それぞれ2つのキーで入力が可
      能です。
      なお、` ==> [routh breathing] は、101 Keyboard では、最上段左隅の
      キーとなりますが、これは 'V' のキーでも打てるので、構わないと思い
      ます。

  3.5. Trema は '"'[double quotation] キーに定義してあります。

      [double quotation] は、101 Keyboard と 106 Keyboard とで全く位置が異
      なりますが、Trema は使用頻度が低いので、106 Keyboard の場合、最上段
      左から2番目でもそれほど問題ないでしょう。

  3.6. 以上の配列では、sampi, digamma, stigma, koppa などの古字も入力でき
     るので、これらの文字が使われる古い文献や、これらの文字にアクセント
     記号等がついて(*) 数字として使われる場合にも対応できます。

      (*) この場合に付加される記号は、古字の上につくことはないので、
          2文字として並置されていれば、それでよい。

  3.7. この配列では、ギリシア語フォントセットで定義してある「左下向き矢印」
     {21h} が入力できません。(それ以外の文字はすべて入力可能です。)
     しかし、この文字はあまり用途があるとも思えないので、この配列に決め
     ました。


付録-4. Glossary & Commands

Emacs で古典ギリシア語環境を構築するための用語、 必要コマンドを以下にまとめました。特に、UNIX, Emacs の環境にまだ慣れていないユーザーのために書いてありますので、 必要に応じて参照してください。

1. Glossary

BDF font
X Window のフォントには、「BDFフォント」と「PCFフォント」の二種類がある。 「BDFフォント」は、エディタで編集できるテキスト形式。 「PCFフォント」は、これを変換したバイナリ形式。 「BDFフォント」から「PCFフォント」への変換には、 コマンド bdftopcf を使う。 また、「PCFフォント」から「BDFフォント」への変換には、 xfs をバックグラウンドで起動した後、 pcftobdf を使う。

Quail Mode
Emacs で ASCII 英数文字、 全角文字以外の文字を入力する際に使用する入力モード。 設定により、独・仏・伊・西などのヨーロッパ系言語、ロシア語、 ギリシア語、アラビア語、ベトナム語などを入力することができる。 本パッケージでは、様々なヨーロッパ言語を入力することを前提に、 latin-1-postfix 配列を割り当ててある。

PCF font
→ BDF font

TLG
アメリカ、カリフォルニア大学 Irvine 校で行われているプロジェクト Thesaurus Linguae Graecae の略。 現存するすべての古典ギリシア語テキストのデータベースを目指している。 独自フォーマットでギリシア語を transcript し、 CD-ROM に保存している。 ライセンス契約を結び、会員になると、CD-ROM が貸与される。詳細は、
http://www.tlg.uci.edu/~tlg/
にあるドキュメントを参照。

2. Commands

〔フォント関係〕

xfs
X Window 用フォント・サーバー。 UNIX の通信機能を使ってフォントのビットデータを、 自分自身や他のホスト (X-端末など) に転送する。

pcftobdf
X Window の *.pcf フォント・ファイルから *.bdf フォントファイルを作成する。 バックグラウンドで、xfs が動いている必要がある。

bdftopcf
X Window の *.bdf フォント・ファイルから *.pcf フォントファイルを作成する

bdfresize
*.bdf フォントを拡大・縮小する

xfed2
*.bdf フォントを作成・修正するためのフォント・エディタ

xfd
X Window にインストールされている指定された *.pcf フォントの文字コード表を表示するツール

〔Mule 関係〕

m2ps
Mule の内部形式で保存されたマルチリングアルテキストを *.bdf フォントを使って PostScript 形式のデータに変換するフィルタ。 文字の大きさ、行間などは指定できないが、大きな *.bdf フォントを用意すれば良質の印字が得られる。
Emacs-20 では使わない。

coco
日本語を含む Mule の内部形式で保存されたテキストを、 JIS (= ISO-2022-7bit), Shift JIS, EUC のデータ形式に変換するフィルタ。
Emacs-20 では使わない。

any2ps
m2pscoco を使ったスクリプト・フィルタ。 Mule 内部形式、JIS (= ISO-2022-7bit), Shift JIS, EUC のデータ形式で書かれたテキストを、 *.bdf フォントを使って PostScript 形式のデータに変換することができる。
Emacs-20 では使わない。

〔TeX 関係〕

jlatex
ASCII 版 LaTeX コンパイラ。 *.tex ファイルから *.dvi ファイルを作成する。

platex
ASCII 版 LaTeX2e コンパイラ。jlatex の新バージョン。

xdvi
X Window 上で *.dvi ファイルを見るビューアー。 ghostscriptを自動起動して *.dvi ファイルを表示するので、 ghostscriptに高品質のフォントが設定してあれば、 高品質の画面表示を得ることができる。

dvi2ps
*.dvi ファイルを PostScript 形式のファイル (*.ps) に変換する。 この出力を lpr などを通して PostScript (GhostScript) に送れば、 TeX での印刷ができる。

jdvi2kps
同上

dviout, dviprt
*.dvi ファイルを PostScript(GhostScript) を通さずに、 画面に表示し、また、各プリンタのデータ形式に変換しプリンタに送る。 プリンタの形式に応じて、環境変数や dviout.cfg, dviprt.cfg 等を設定して使用する。

mf
METAFONT プログラム。 フォントのソース(*.mf)からgfフォントと *.tfm ファイルを作成する。

gftopk
mf で作成された gf フォントを pk フォントに圧縮する。

tftopl
*.tfm ファイルをエディタで編集可能な *.pl ファイルに変換する。

pltotf
*.pl ファイルを *.tfm ファイルに変換する。

ghostview
*.ps のビューアー。

gs
ghostscript プログラム。 UNIX では、PostScript Printer の使用が標準であるが、 非 PostScript Printer のために、PostScript 形式のデータ (*.ps) をそれぞれのプリンタのデータ形式に変換する。 *.ps ファイルのビューアーとしても使われるが、 プリンタ・スプーラ lpr へのフィルタとして使われることが多い。


付録-5. FAQ (Frequently asked Questions)

0. Classical Greek 環境一般

q.0-0.
今まで、MS-Windows でギリシア語を使って来たのですが、MS-Windows 環境で作成されたファイルはこの環境で使えるのでしょうか。
a.0-0.
Emacs-20 Classical Greek 環境で採用している cgreek??.bdf フォントは、 MS-Window で広く使われている sgreek.ttf と文字の配列を同じにしてあります。 従って、ギリシア語のみのテキストは、メニューバーの "CGreek > Open File > 8bit Format" で読み込むことが可能です。 ギリシア語と独・仏・日などの混在テキストは、 コンバーターを書けばよいわけですが、ウウム、 まだやっていません。(誰か作ってくれませんか....)

q.0-1.
キーボードは何が使えますか。
a.0-1.
デフォルトのギリシア語配列は、英語 101 キーボード / 日本語 106 キーボードの双方を考慮して作成してありますので、 そのいずれでも使えます。

q.0-1.
日本語入力システム (FEP) を変更したいのですが。
a.0-1.
デフォルトの日本語入力メソッドは Quail の "japanese" パッケージですが、 これを Wnn や SJ3 に変更したい人もいると思います。 Meadow ユーザの中には MS-IME が使いたい人もいるでしょう。 Unix 上で Emacs-20.5 およびそれ以降を使っているなら、 「たまご Ver.4」が使用可能です。
http://www.m17n.org/tamago/index.ja.html を参考に「たまご Ver.4」 をインストールした後、~/.emacsに次の1行を入れて下さい。

(setq cgreek-japanese-input-method "japanese-egg-wnn")
メニューから Japanese Mode を選ぶと Wnn が起動するようになります。

Meadow を使っている場合は ~/.emacs

(set-language-environment 'japanese)
(set-keyboard-coding-system 'sjis-dos)
(mw32-ime-initialize)
(setq mw32-ime-mode-line-state-indicator "[--]")
(setq mw32-ime-mode-line-state-indicator-list '("--" "[あ]" "[--]"))
(setq cgreek-japanese-input-method "MW32-IME")
などと書くと MS-IME が使えるようになります。

q.0-2.
私は、カナ入力派なのですが....
q.0-2.
残念ながら Quail にはカナ入力用のメソッドが用意されていませんが、 その他の日本語入力方式なら、それぞれの configuration file を書き換えることで可能になります。 設定の仕方については、それぞれのマニュアルを参照してください。 (ちなみに、私(水落)もカナ入力で Wnn6 を使っています。)

1. インストールについて

q.1-0.
インストール後、Emacs を起動してみると、 メニューバーに CGreek の文字がありません。
a.1-0.
次のいずれかが原因です。確認してみてください。

  1. 本パッケージ cgreek-emacs20 がホームディレクトリにインストールされていない。

  2. ~/.emacs
    (load "~/cgreek-emacs20/dotemacs")
    という1行が追加されていない。 あるいは、その書式に誤りがある。

q.1-1.
正しくインストールしたつもりなのですが、 ギリシア語モードに移行して文字を打っても、 四角い枠が表示されるだけでギリシア文字が出てきません。
a.1-1.
X Window System のギリシア語フォントの設定に誤りがあります。 次の事項を確認してください。

  1. ~/.xinitrc あるいは ~/.xsession
    xset fp+ ~/cgreek-emacs20/bdf
    という行が含まれているかどうか。

  2. fontset-standard 以外のフォントセットを使用していないかどうか。 自分で定義したフォントセットを使っている場合は、 そのフォントセットにギリシア語フォントを追加する必要があります。 追加する手順については 付録-1. カスタマイズ -- 画面文字サイズの変更 を参照して下さい。

  3. フォントをインストールした直後にギリシア文字が表示されない場合、 ファイルデータベースが更新されていない可能性があります。 xset fp rehash をかけるか、 X Window を再起動してみて下さい。

q.1-2.
Emacs での Lisp ファイル (*.el) は、 バイトコンパイルすると速くなると聞きました。 バイトコンパイルはどのようにして行うのですか。
a.1-2.
ふたつのやり方があります。

  1. Emacs を起動した状態で *.el ファイルを読み込むと、 メニューバーの右の方に "Emacs-Lisp" というメニューが現れる。 そのサブメニューに、"Byte-compile This File"、 "Byte-compile And Load" があるので、それ を選択する。

  2. ミニバッファから "M-x byte-compile-file" と入力するとファイル名を聞いてくるので、 コンパイルしたいファイル名を入力する。
このいずれかを使ってください。

2. Emacs でのオペレーションについて

q.2-0.
Emacs で日本語とドイツ語やフランス語が混在した文書を作成・保存し、 それを再び読み込むと、文字化けしてしまいます。どうしてでしょうか。
a.2-0.
Emacs での coding-system の設定が ISO-2022-7bit になっていないものと思われます。 ~/.emacs の最後に

(load "~/cgreek-emacs20/dotemacs.el")
という1行が追加されていることを確認してください。 ([ 付録-2. マルチリンガル環境における日本語文字コードについて ]を参照してください。)

なお、次の仕方で読み込み時の日本語コードを指定することができます。

C-x RET c <coding-system> RET C-x C-f <filename> RET

q.2-1.
(削除)

q.2-2.
独・仏などが打てる quail モードで、たとえば、 i の次に一重引用符 ' を打とうとしたら、 アクサン・テギュ付きの i になってしまいました。 この文字のならびをストレスなく打てる方法はないでしょうか。
a.2-2. アクサン・テギュ付きの i になったところで、 もう一度一重引用符 ' を打って下さい。 他の記号に関しても同様です。

3. TeX について

q.3-0.
(削除)

q.3-1.
TeX のパッケージをダウンロードしようと、ftp サイトに行ったのですが、 余りにもファイルの数が多く面倒です。うまい手だてはないでしょうか。
a.3-1.
ftp コマンドを拡張した ncftp というコマンドがあります。 これを使えばディレクトリ名を指定するだけで、 そのディレクトリ以下のすべてのファイルをダウンロードすることができます。 使用法は

% ncftp ftp.riken.go.jp
> cd /pub/CTAN/language/greek
> get -R ibygrk
などとするだけです。なお、ncftp のオリジナル配布元は、
ftp.probe.net/pub/ncftp/
です。

4. TLG ファイルのコンバートについて

(削除)

5. カスタマイズ

q.5-0.
ギリシア文字のフォントが気に入らないので手直ししたいのですが。 新たなフォントを作って、それを使いたいのですが。
a.5-0.
xfed2 というフォント・エディタを使えば、 フォントの作成・変更は自由にできます。大体の手順は次の通りです。

  1. 手直ししたいフォント (cgreek14.bdf, cgreek16.bdf, cgreek24.bdf のいずれか) を別名 (e.g. another14.bdf) にコピーする

  2. % xfed2 another14.bdf
    でフォント・エディタを起動し、 フォントを手直しする。

  3. X Window を再起動する。
xfed2 の所在は、archie などで検索してください。 (コンパイルは極めて簡単です)

q.6-1.
ギリシア文字のキーボード配列を変更したいのですが。

a.6-1.
ギリシア語環境がインストールされた状態で、 cgreek-quail.el を Emacs に読み込んでみてください。 後半部分に、一行に一個の並びで、

(<キーストローク> ?<表示されるギリシア文字>)
の対応表が並んでいますので、Emacs 上でそれを変更してください。 ただし、これは慎重にやらないと入力できない文字が出てきたりしますので、 予め配列を紙に書くなどして十分推敲の後、行って下さい。

6. Emacs 一般 -- 特にカスタマイズについて

(Emacs のカスタマイズ一般について、 とりあえず、Emacs に余り慣れていない方々からの質問がが多そうなことについて書きました。 他のことがらについては、Emacs のマニュアルなどを参照してください。)

q.6-0.
文書末尾で、 下矢印を押すと新しい行がどんどん追加されて行くのが嫌なのですが。
a.6-0.
~/.emacs ファイルに次の一行を追加してください。

(setq next-line-add-newlines nil)

q.6-1.
現在編集中の行番号を表示したいのですが。
a.6-1.
デフォルトで表示されるはずです。 表示されない場合は、 ~/.emacs ファイルに次の一行を追加してください。

(line-number-mode t)

q.6-3.
括弧を入力したときに、一時的にカーソルが移動して対応括弧を示してくれる、 マッチングの時間を短くしたいのですが。
a.6-3.
マッチング時間は、デフォルトでは、 どの OS にも対応できるように1秒に設定されています。 X Window System ではもっと短くすることができますので、 ~/.emacs ファイルに次の一行を追加してください。

(setq blink-matching-delay 0.5)
マッチングの時間が 0.5 秒になります。

q.6-4.
Emacs をしばらく使っていたら、ホームディレクトリに、いつの間にか .saves- ......というファイルが沢山作られていたのですが。
a.6-4.
このファイルは、不慮の事故に備えて、 編集を中断した際の中断セッションの記録をとるものです。 これが必要なければ、~/.emacs ファイルに

(setq auto-save-list-file-prefix nil)
を追加してください。

7. その他

q.5-0.
Mule Classical Greek のメーリング・リストに参加するにはどのようにしたらよいですか。
a.5-0.
本文に subscribe とだけ書いたメールを mule-cgreek-request@etl.go.jp 宛に送って下さい。 自分のメールアドレスは書く必要ありません。

q.5-0.
Mule Classical Greek のメーリング・リストから脱退するにはどのようにしたらよいですか。
a.5-0.
本文に unsubscribe とだけ書いたメールを mule-cgreek-request@etl.go.jp 宛に送って下さい。 自分のメールアドレスは書く必要ありません。


back CGreekホームページへ


最終更新日 : 2006年8月17日