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[cgreek-ja:01053] Re: 特殊なギリシャ文字の入力について



水落さま

興味深いお話を丁寧にありがとうございました。長母音記号については、1000 
年オーダー程度のタイムスケールで考えたとき、未来の学者さんが利するとこ
ろが大であればあったほうがよいのでしょうし、そういうことも考慮した上で
やはり依然として初学者の補助としての役割しか持たないのであれば、それほ
どのプライオリティーにはならないと思います。

いずれにせよ、ちょこちょことプログラムをいじるのが好きな性分なので、あ
れこれ試してみようと思います。

cgreek の技術的なことがらしか期待していなかったのに、ギリシャ語そのものに
関する情報をいただけて、大変うれしく思います。重ねてお礼いたします。


   - Tez Kamihira


On Tue, 08 Jun 2004 11:01:02 +0900 (JST), Kenji MIZUOCHI <kmizuoch@xxxxxxxxxxxx> said:
> 上平 さま、
> 
> メール拝読しました。古典ギリシア語のアクセント記号、気息記号、長母音記号
> についてのご質問ですが、ギリシア語の歴史にも関わることなので、少しまとめ
> て書きます。
> 
> (1) 元来、ギリシア語のアルファベットには、大文字しかなく、アクセント記号、
>     気息記号、長母音記号もありませんでした。また単語と単語をスペースで区
>     切るという習慣もなく、すべての単語は (日本語のように) 続けて書かれて
>     いました。
>     ヘレニズム期のアレクサンドリアで発達した文献学では、単語の区切りの違
>     いによるテキストの読み方の相違の問題がしきりに議論されています。
> 
>       # ご興味がおありでしたら、拙訳、クリュシッポス『初期ストア派断片集2』
>       # (京都大学学術出版会、西洋古典叢書) 断片152 をご覧ください。
> 
> (2) いわゆる「小文字」が成立したのは、古代末期〜初期中世の頃、写本の筆写
>     に伴ってです。また中世ビザンティンの文献学において、気息記号とアクセ
>     ント記号が成立しました。(長母音記号は使われていません)
> 
> (3) ギリシアでは、近代に至るまで、大文字、小文字、気息記号、アクセント記
>     号が用いられたギリシア語 (Polutonic Greek) が使われていましたが、確か
>     20世紀になってから言語改革運動が起こり、アクセント記号が単純化され、
>     重アクセントは使われなくなりました (Monotonic Greek)。
> 
> (4) というわけで、古典ギリシア語、現代ギリシア語の印刷テキストでは、ふた
>     つの気息記号、三つのアクセント記号、Iota Subscriptum などが使われて
>     います。
> 
> (5) いわゆる長母音記号 (母音の上の横線) は、初学者に活用を覚えさせるため
>     に文法書などで使われることが多いですが、学術文献や現代ギリシア語の印
>     刷文書などには使われません。
> 
>       # もちろん、長母音記号をつければ韻文などは読みやすくなりますが、も
>       # ともと韻文と分かっているものは、特定の韻律で書かれていることが分
>       # かっているわけなので、慣れてくれば、わざわざ長母音記号をつけなく
>       # ても、正しい長さで読めるわけです。
> 
> (6) というわけで、この CGreek のプロジェクトでは、当初、文字フォントを定
>     義するときに、長母音付文字は定義範囲に加えませんでした。現在、文字コ
>     ードは、Emacs 21 になって、いわゆる Uni Code (UTF-8) に変わり、状況
>     が大分変わりましたが ...
> 
>       # 確か、Uni Code では、アクセント付文字などを複合文字として扱うの
>       # でしたよね  >高橋さん
> 
> 
> 大体以上が、CGreek プロジェクトでのギリシア文字の扱いについての考え方で
> す。これまで、このプロジェクトは (英語の Mailing List も含めて) この線で
> 来て問題もそれほどなかったのですが、何かご意見などあれば、おっしゃってい
> ただければ、反映できるかもしれません。
> 
> とり急ぎ。
> 
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> ■■ 水落 健治                             
> ■■ 明治学院大学 文学部                    
> ■■ mizuochi@xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx 
> ■■ kmizuoch@xxxxxxxxxxxx          
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